講演抄録

NEW!文野 弘信 先生 講演抄録

歯肉退縮を伴う歯周病患者への矯正治療
-診断・治療目標・予後を考える-

矯正治療における偶発症のひとつに歯肉退縮を招く危険性がある事は周知の通りであるが、健康な歯周組織をもつ患者さんに対して不幸にも歯槽骨の吸収や歯肉退縮を起こしてしまった際は術者の責任を問われる事もあるため、治療開始前の診断にて考えられる偶発症のリスクを説明しインフォームドコンセントを得ることは必須かつ重要である。

一方、日本人の成人歯周病有病率は80%とも言われ、少子高齢化が進む中で歯周病はもはや国民病と言っても過言ではない。このような状況の中、少なからず歯周病患者の矯正治療は避けて通れない時代となった。特に重度の歯周病患者の矯正治療は困難とリスクを伴い、炎症が消炎した後の破壊された歯周組織の現状には目をつぶりたくなることも多い。歯肉退縮に加え、著しい歯槽骨吸収と動揺をもつ咬合崩壊された口腔内の状態を補綴治療にて再建するためには矯正治療が必要となる症例も多く、歯周治療専門医より依頼され担当する矯正歯科医にとっては勇気と覚悟が必要となる。そのため矯正歯科医からは治療を敬遠されることが多いとの話をしばしば耳にする。今回は重度歯周病および不正咬合を伴う患者さんへの福音となるべく本格矯正治療における留意点についてお話しさせて頂きます。

秋季セミナーお知らせページに戻る