理事長あいさつ

本学会は、1993年に佐藤元彦会長が設立され、2005年内閣府認可による特定非営利活動法人(NPO法人)に認可されました。以来、成人矯正歯科医療の発展と国民の健康増進に貢献する活動を続けてまいりました。本学会は学術大会やセミナーの開催、学会誌の発行、認定医・臨床指導医制度、認定矯正歯科衛生士制度、認定矯正歯科技工士制度、歯並びコーディネーター制度の運営、認定医研修プログラムの実施などを通して、会員の知識・技術の向上、質の高い治療の普及に努めてまいりました。また、E-ライン・ビューティフル大賞、矯正歯科月間などの啓蒙活動を通じて、成人矯正治療の重要性をアピールし、国民の口腔の健康増進に貢献することを目指してまいりました。
今日、日本の歯科矯正治療を取り巻く状況は大きく変化しています。現代科学、特にデジタル技術の発展の影響、医療倫理の概念と国家施策の変化、医療行政の理想の変化、治療機関の技術差など対応すべき課題は多く存在します。一方で、美しい歯並びや健康的な口元への国民の関心の高まり、口腔機能の維持と健康寿命への期待、 AI・デジタル技術の進歩といった機会も存在します。

このような状況を踏まえ、今後の学会運営には以下の諸点に取り組んでいく所存です。

  • 学術活動の更なる推進と質の向上:標準的な治療指針を策定し, 学術大会やセミナー、学会誌を通じて最新の知識・技術を提供し、会員の臨床レベルの向上を図ります。特に、デジタル技術やAIの活用に関する研究・情報提供を強化するとともに、マウスピース型矯正装置の適切な使用に関する啓蒙活動を推進します。
  • 社会への貢献と認知度の向上:成人矯正治療の意義や重要性を社会に発信し、国民の口腔の健康増進に貢献します。E-ライン・ビューティフル大賞や矯正歯科月間などの啓発活動を継続し、ホームページやSNSを活用した情報発信を強化します。高齢化社会における矯正治療の役割についても情報発信してまいります。
  • 会員サービスの充実と連携の強化:認定医制度の質の維持・向上を図るとともに会員相互の情報交換、交流を促進する活動を充実させます。保険適用される唇顎口蓋裂治療・顎変形症治療、成人矯正臨床に関わる学会や医療団体との連携を強化・発展を目指します。歯科衛生士、歯科技工士、歯並びコーディネーターをはじめとする多職種との連携をより一層推進し、チーム医療の向上を図ります。
  • 国際的な活動の推進:海外の矯正歯科関連学会との連携を図り, 国際的な情報収集や交流を積極的に行い, 国内の矯正歯科医療の発展に繋げてまいります。
  • 若手育成とキャリア支援:将来の矯正歯科医療を担う若手歯科医師の育成のため、研修プログラムの充実やキャリア形成の支援に力を入れてまいります。
  • 学会運営の透明性と会員参加の促進:会員の皆様の声を真摯に受け止め、学会運営に反映させるための仕組みを強化し, より開かれた学会運営を目指します。

微力ではございますが、理事長として、学会の更なる発展のため、会員の皆様とともに尽力してまいる所存です。何卒、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

日本成人矯正歯科学会 理事長 鈴木敏正
2025年1月1日