日本成人矯正歯科学会

タイトル:安心安全な歯科医療を目指した院内感染対策 ~歯科衛生士の立場より~

昭和大学歯科病院 歯科衛生室 佐藤香織


歯科医療を安心して受けていただくために、院内感染対策を含めた医療安全を推進し取り組むことは日常業務の中で重要な項目です。
院内感染対策の目的は、「患者と職員を感染から守る」ことであり、感染を成立させる要因には、①「病原体(感染源)」、②「感染経路」、③「宿主」の3つがあります。この3つの要因が満たされることを感染連鎖といいます。ひとたび院内感染が発生すると、感染防止対策の不備などがマスコミに取り沙汰され、施設自体への風評被害や経営的な損失がその代償となります。感染対策の原則は、感染連鎖を断ち切ることと言われています。感染を成立させる3つの要因の1つである「感染経路」を遮断することが、歯科医療従事者が最も簡単で効果的に実践できる感染対策であります。
歯科診療の特殊性として、血液や唾液の飛沫が伴う医療行為であること、エアタービンや超音波スケーラーなどの使用によりエアロゾルが発生すること、歯科治療に使用する器具は鋭利なものが多く使用されていること(バー類、リーマー類、スケーラー、ワイヤーなど)、などがあげられます。そして、私達が働く歯科医療現場では、標準予防策と感染経路別予防策(飛沫感染対策、接触感染対策など)、職業感染防止の感染対策が重要になります。
今回、感染経路を遮断するための対策として、標準予防策である手指衛生や個人防護具(PPE)、汚染された器材の洗浄・消毒・滅菌など、実際に行っている感染対策などについて歯科衛生士の立場からお話させていただきます。

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