日本成人矯正歯科学会

歯科医師向けセミナ-(第32回)抄録

医療法人ユアーズ矯正歯科 八女 久保田 隆朗
タイトル:矯正学の通説に抗う - Challenging the myths in Orthodontics -

私は約15年以上前から、デジタル技術を駆使した矯正治療に取り組んできた。しかし、最先端のデジタル技術を矯正に応用することで、治療期間が短縮できたり、治療結果がすばらしいものになったのだろうか?その答えはNOである。いかにインダイレクトボンディングトレイ、ロボットでベンドした高精細ワイヤーや、3Dプリンターで製作した装置を用いたとしても、治療期間や、治療結果が従来よりすばらしく進歩することはあまりなかったと言える。しかしながら、シミュレーションを応用して治療結果を予測し、メカニクスを考えることは、従来のセファロを用いた紙上での二次元分析をはるかに超えた、三次元での明瞭な、個々の症例に合わせた治療計画が立案可能になる。これがデジタルを使用することで生じてきた大きな変革だと思われる。その中で従来の矯正で信じられてきた通説が、実際は異なっているのではないかと思われる点がいくつか垣間見えてきている。そこで今回はその問題点を明らかにするとともに、我々が考えているバーチャルモデルを使った治療計画の立案(シミュレーション)について少しお話をするつもりである。

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